発毛剤を服用すると献血できません

飲む発毛剤を服用していると献血ができない場合があります

医療技術がめざましい進歩を遂げている現在においても完全な血液の代替え品は完成しておらず、輸血には善意による人の血液に頼らざるを得ない。

献血による安全性は昔に比べ格段に向上している。チェックされる項目も内容も厳しくなり、輸血を受ける側にとって無用な心配をしなくても良くなってきている。もちろん未知の病原体や潜伏期間の長いウイルスなどのリスクはなくなったわけではない。

悪性リンパ腫(血液ガン)などの病気では抗がん剤治療の副作用として血小板が激減する場合がある。この場合、血小板の輸血が末期の場合必須となる。これに必要な血小板は血小板献血で採取された善意の塊であるが、その使用期限は献血終了時点からホンの72時間程度である。長期のストックのできない貴重なものを必要としている患者さんが多数いること、またそれを提供する多数の方の善意がうまく回転してこそイザという時に安心できると考えられます。

薬効の高い医薬品である「服用する育毛剤」には、献血した血液を使用した場合に重大な問題を引き起こす可能性のある成分を含んだものがあります。せっかくの善意が無駄になるだけでなく、提供された側の将来に多大な迷惑をかけることにつながってしまうのです。

「プロペシア」は男性型脱毛症の進行を抑え、発毛につなげていくことに非常に効果があると言われている育毛剤です。元来は前立腺肥大や前立腺ガンの治療薬として使用されていましたが、副作用で異常な発毛が出たことから発毛剤としての用途で使われるようになった医薬品です。

動物実験レベルで発現した事例です。メスのラットがオスを妊娠しました。男性器を形成する際にDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性脱毛症の最大の原因といわれる男性ホルモンが必要になるのです。この時期にメスに「プロペシア」を投与しDHTを抑制した時に生まれてきたのは、性器がオスかメスか判別できないラットだったのです。メスを妊娠したラットには異常はなかったという結果から「プロペシア」は妊娠時のリスクを高めると考えられ、使用が禁止されたのです。

つまり、「プロペシア」を服用している男性の血液が、献血により妊娠中の女性に輸血されたときに理論上大きなリスクを負うことになるので、服用を中止しても薬効成分の効果が完全に消える1カ月間を経過しない者の献血を禁止しているのです。